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2017-10

Beau Brummels / Triangle 50th Aniversary Edition - 2017.08.14 Mon

再発盤は買わない! と決めていたのだが、吉祥寺の輸入レコード店でつい衝動買いしてしまった。

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買ってしまったのは、ライノからリリースされたボー・ブラメルズの傑作アルバム「トライアングル」の50周年記念アナログ盤(モノラル)。僕はレア盤を集める趣味はあまりないつもりだけど、やはり好きなアーティストの貴重盤を手にするとワクワクする。

トライアングルはレニー・ワロンカーのプロデュースによる1967年の作品。ジャケットさながらのカラフルなサウンドで、サイケ/フォーク・ロックの名盤とされている。また、ハープシコード(ヴァン・ダイク・パークスが演奏)や管楽器などクラッシック音楽の要素を取り入れたサウンドは当時バロック・ポップと言われてもてはやされた。

左側がオリジナル盤で、右側が今回の再発盤。さすがライノだけあってとても精巧に作られている。レコード盤は特別仕様のブルーのカラー・ビニール。ジャケットのコントラストがオリジナルより少し強くなっているが、その外は忠実にオリジナル盤を再現している。スクラッチ・ノイズはほとんどなく、高音部を抑えた上品な音で、モノラルということもあって音が力強く迫ってくる感じ。ただ、このアルバムの華やかな雰囲気を楽しむにはステレオ盤の方が良いように僕は感じた。

オリジナル盤を入手したのは、たしか大学に入って間もない1973年頃だったと思う。当時日本への通販を行っていたシアトルのレコード店(Discount Records)にダメ元でオーダーしたところ在庫有りの返事、船便で現物が届くまでの2か月間が本当に待ち遠しかったのを思い出す。

当時の僕はウェストコースト・ロックや60年代後半のソフト・ロック、クイックシルバーやスティーヴ・ミラーなどのサイケ・ロックのアルバムを集めていた。ボー・ブラメルズについては、「ラーフ・ラーフ」や「ジャスト・ア・リトル」などヒットチャートを賑わせたオータム・レコード時代のヒット曲は中高生の頃から知っていたが、ワーナー移籍後第2弾となる本作の存在を知ったのは1970年代に入ってからだった。僕は、このアルバムを機にレニー・ワロンカーの存在を初めて意識し、その後ハーパーズ・ビザールなどを経て所謂バーバンク・サウンドへと展開していく。また、ビーチ・ボーイズ人脈からゲーリー・アッシャーやカート・ボエッチャーを知り、その後日本でも再評価されるミレニアムやサジタリアスのアルバム等にたどり着いたのもこの頃だった。

ボー・ブラメルズは、「トライアングル」をリリースした翌年の1968年に、バーズの「ロデオの恋人」に触発されたレニー・ワロンカーの発案によりナッシュビルで「ブラッドリーズ・バーン(Bradley's Barn)」を録音する。サイケロックの次はカントリーロックと目まぐるしく動いていた当時の音楽シーンを反映していて興味深い。「ブラッドリーズ・バーン」はボブ・ディランのナッシュビル・セッションに参加したジェリー・リードやケネス・A・バトレー等の名手もアシストした佳作だったが、商業的成功には至らなかったためかグループは解散してしまう。その後、ロン・エリオットは1970年にソロ・アルバムを発表、1973年にはフォークロック・グループ、パンを結成、サル・ヴァレンティノはストーングラウンドにヴォーカリストとして参加するなど独自の道を歩み始めるが、1975年に突如としてセルフ・タイトルの再結成盤を発表する。再結成盤は「ブラッドリーズ・バーン」の延長線上にあるカントリー/フォークロックのアルバム。地味だが良くできた作品で当時の僕の愛聴盤になった。余談であるが、翌年の1976年にはハーパーズ・ビザールの再結成盤がリリースされ、60年代バーバンク・サウンドの復活かと個人的には大いに盛り上がったが、後が続かなかった。

尚、サル・ヴァレンティノは2000年代になり4枚のアルバムを発表しているが、その中では、ストーングラウンド時代の朋友ジョン・ブラックリーのプロデュースにより2006年にリリースされた「ドリーミング・マン(Dreaming Man)」が力作だ。











僕の「パイドパイパー・デイズ」 - 2017.05.06 Sat

連休で時間ができたので、1ヶ月ほど前に書きかけになっていた記事をようやく書き上げた。

4月初旬の週末のことであるが、久し振りに渋谷のタワーレコードに立ち寄り、5回の洋楽フロアに昨年夏から設置されている「パイドパイパー・ハウス」のコーナーを覗いてみた。期間限定とのことだが、当該コーナー限定発売のフィフス・アベニュー・バンドやハース・マルティネス の7"シングルレコード等を出すなど好評のようで、企画は夏ごろまで延長されるらしい。その日はハース・マルティネスの限定シングル盤が発売された直後だったようで、伝説のレコード店の店長/オーナーであった長門芳郎さんが、ハースのシングル盤の展示をあれこれと調整していた。僕は推薦盤のコーナーで試聴しながらその様子をチラ見していたのだが、その時は何となく気後れしてしまい、話しかけることなく立ち去ってしまった。でも購入したCDの精算を済ませながら、せっかくの機会なので一言でもお話してみようと思い直し、もう一度戻って声をおかけした。僕が大学生の頃よくお店に行ったけどシャイな学生だった僕はお店の人に話しかけることができなかったこと、メロディ・ハウスや芽瑠璃堂、シスコなど当時よく通った他の輸入レコード店のこと、僕が好きだった60年代ポップスやシンガー・ソングライターのことなど、ひとしきりお話させていただいた。

そんな体験をしたせいか、急に学生時代が懐かしくなり、家に帰ると、少し前に購入した長門芳郎さんの回想録「パイドパイパー・デイズ」を読み返しながら、ラヴィン・スプーンフルやイノセンス、ポール・リヴィアとレイダースなど、しばらく聴いていなかった昔のアナログ盤を何枚か聴きながら当時を思い返してみた。

以前にも日記に書いたと思うが、僕が友達のI君の家でベンチャーズを聴かせてもらい初めての「洋楽体験」をしたのは小学校6年生の時だったが、その後本格的にロックやポップスを聴くようになったのは、それから2・3年後の1969年ごろ、中学2年生の時だった。まずはキャッシュボックスやビルボードなどの全米ヒットチャートを追いかけたが、大物アーティストのベスト盤購入をきっかけに、僕の関心は時代を遡るように60年代半ばへと展開していった。そして、ビーチ・ボーイズ、アソシエイション、グラス・ルーツ、ホリーズ、キンクスなどが僕のお気に入りとなった。当時名古屋に住む高校生だった僕の情報源は、ミュージック・ライフやニューミュージック・マガジン、そして海外の音楽を体験する唯一と言って良い存在だったのがヤマハ楽器名古屋店だった。僕はヤマハの輸入盤コーナーや洋書売場で見たことのない輸入盤や海外の音楽雑誌を眺めながら、海の向こうに広がる未知の世界に思いをはせていた。その当時の音楽体験は、その後の僕の音楽の趣味に多大な影響を与えることとなる。

大学へ入る頃になると、ヒットソング・ファンから徐々に脱皮し、クイックシルバー・メッセンジャー・サービスやスティーブ・ミラー・バンドなどのサイケロックや、ドゥービー・ブラザース、イーグルスなどのウェストコースト・ロックを聴くようになった。「ニューミュージックマガジン」の編集長のだった中村とうようさんには多大な影響を受け、ジャズ、ラテン、アフロなど様々なジャンルの音楽を聴いたが、しばらくすると僕の趣味は小倉エージさんや矢吹申彦さんあたりが紹介していたシンガー・ソングライターやスワンプ・ミュージックに収斂していった。

大学生になり東京に出てきたのは1973年の4月のこと。大学ではディスク・ソサイエティというレコード鑑賞のサークルに在籍し、授業が終わると部室で持ち寄ったレコードをかけながら音楽談義に明け暮れたり、都内の輸入レコード店を巡って新譜やレア盤を漁る毎日となった。その頃僕がよく通っていたレコード店は、パイドパイパー・ハウスのほか、大手のディスク・ユニオン、原宿竹下通りのメロディ・ハウス、吉祥寺の芽瑠璃堂やジョージア、渋谷のシスコ、新宿レコード、高田馬場の線路沿いにあったオパス・ワンなど。いずれのレコード屋さんもオーナーの趣味が滲み出ていて、それぞれ個性があって面白かった。

パイドパイパー・ハウスが僕にとってとりわけ魅力的であったのは、渋谷のブラックフォークあたりでかかっていた英国トラッドや米国の渋めのシンガー・ソングライターだけでなく、60年代ポップスに根差した音楽がたくさん置いてあったことだ。60年代のポップスやソフトロックから音楽が好きになった僕は、シンガー・ソングライターやスワンプ系のアーティストを物色した後も、必ずオールディーズ・コーナーをチェックして、ハーパーズ・ビザールやスパンキーとギャングなどのアナログ盤を購入した。

長門さんの監修した”BEST OF PIED PIPER DAYS”(Vol.1、Vol.2)を聴いてみた。70年代の音楽が中心と思いきや、60年代のアーティスト、それも代表曲でなく隠れた名曲といった作品が数多く収録されていた。Vol.2はほとんど60年代コンピ・アルバムと言ってよい内容だ。僕は60年代のアーティストのアルバムもそれなりに持っているが、半分以上は聴いたことのない曲。またラスカルズやマーク・リンゼイ、イノセンス、アソシエイション、BS&Tといった有名アーティストであっても当時あまり聴きいていなかった曲が多く、趣味の広がりと深さが感じられる内容だ。通して聴いてみると、ボーカルや曲調にある種の共通性が見い出されて、長門さんの好みが良く分かる内容でもある。聴きながら、つい「なるほど」と頷いてしまった。

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Rachel Sermanni - 2017.03.03 Fri

「2016年の10枚」には書かなかったが、僕にとっての2016年の最大の発見は実はこのレイチェル・サーマンニだったかもしれない。昨年はフル・アルバムをリリースしていなかったので上記10枚からは除外したのだが、初めて聴いた時にぞくっと来るような感覚を久々に覚えたアーティストだった。ただ発見と言ってもといっても単に僕が知らなかっただけで、英国では既に絶大な人気を誇る期待の若手シンガー・ソングライターである。

Wikipediaによれば、彼女は1991年にスコットランドの山間の町で、警察犬トレーナーの父親とNHS(英国の国民健康保険サービス)で青少年のメンタル・ヘルス関連の仕事をしていた母親との間に生まれたとのこと。16才の頃に初めて曲を書き、グラスゴー周辺のパブのTraditional Music Nightなどに出演、2009年にはスコットランドの音楽フェスティバルであるthe Loopallu festivalに行き、フェスティバル終了後にパブで飲んでいたMumford and Sonsに声をかけ共演を申し出たという。そんな出来事がきっかけで多くの著名ミュージシャンと親交を持つようになり、音楽活動も本格化していく。

2011年にはハイランドの森の中で10人ほどの友人と制作したデビューEP "The Bothy Sessions″をリリース、続いて2012年にリリースされた "Black Currents″は4曲入りのEPながら珠玉の名曲の揃った素晴らしい内容でインディ・チャートで1位を獲得するなど一気にブレイクする。そして同年末に初のフルアルバム"Under Mountains″を発表する。その後は1年に1枚のペースでEPをリリース。フルアルバムは2014年のライブを経て2015年に"Tied To The Moon″を発表している。

影響を受けたアーティストとして、若くして世を去った稀代の女性シンガー、エヴァ・キャシディに加えて60・70年代のレジェンド、ヴァン・モリソンやボブ・ディランなどの名前をあげる彼女の音楽の魅力は、クラッシック音楽の影響も感じるトラディショナルな音楽にモダンな感覚を注ぎ込んだところにある。流麗なメロディに乗せて表情豊かなボーカルが胸に迫ってくる。スコットランドの森の静寂の中で聞こえる水音のようとでも形容したらようだろうか。

EP作品群:

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僕は彼女が1年毎に出すEPが好きだ。フルアルバムと比べるとシンプルで普段着の彼女に接することができる。といっても完成度は高く、ピアノとアコースティック・ギター中心のシンプルな演奏が彼女の歌と完璧に調和している。簡素な分だけ歌が生々しく迫ってくる。

フルアルバム:

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デビューアルバムはとても魅力的だ。1曲目は名作Black CurrentsからのBreathe Easy。その後も佳曲が次から次へと登場し、彼女の世界にどんどん引き込まれていく。2作目のライブも素晴らしい。スタジオ・アルバムかと思うほど彼女の歌は完成度が高く、簡素なバックがそれを引き立てている。

現時点での最新作である2015年の"Tied To The Moon″もなかなか充実した作品だが、あえて難点を挙げるとすれば、エレキ・ギターの使用を含めポップ寄りのアレンジが施された曲が登場すること。アルバムに変化を持たせる意図はわかるが、こうしたアプローチは彼女の特別な輝きをむしろ減殺してしまっているように思える。歌唱力、表現力のある人なのでコマーシャルなアレンジは必要ないし、かえって凡庸に聴こえてしまう。英国フォークの深い森の中から大きく飛び出さないでほしいものだ。










Laura Gibson Japan Tour 2017 - 2017.02.05 Sun

先週ミュージックマガジンを立ち読みしていたら、僕の大好きな米国オレゴン州ポートランドのシンガー・ソングライター、ローラ・ギブソンが来日していたことを知り、急きょチケットをゲット、1月30日月曜日に渋谷のO-Westビルの7階にある7th FLOORで行われたライブに行ってきた。彼女の来日は2009年のDe La Fantasia出演のためイーサン・ローズとともに来日して以来8年振り。1月26日の東京を皮切りに名古屋、金沢、京都でライブを行っており、1月30日の東京での公演は帰国前夜の最後のコンサートだった。

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Laura Gibson Japan Tour 2017

今回のツアーではローラを中心に、英国ブリストルのシンガー・ソングライター、レイチェル・ダッドのほか、会場ごとに日本のミュージシャンが前座で参加している。1月30日のオープニングは、レイチェル・ダッドと親交のある日本人アーティストのICHI。変声とやはり変なメロディで、スティールパン・鉄琴・トランペット・ウッドベースから風船やタイプライターまで様々な楽器と効果音を駆使してで大道芸人風に奏でる彼の音楽は面白いと言えば面白いが正直ちょっと引いてしまった。でも続いて登場したレイチェルは素晴らしかった。40分ほどぶっ続けでのパーフォーマンスで日本人女性舞踏家とのコラボ。映像をバックに彼女のピアノとボーカル、踊りが絡む見応えのあるステージだった。ピアノは本当に上手だし、声も魅力的。

さて、お目当てのローラが登場したのは7時半の開演から1時間半以上経った9:10頃。ちょっと待ちくたびれた感があったが、ローラの演奏が始まると会場の雰囲気は一気に盛り上がった。ギターに時折りピアノを交えた弾き語り。アルバムでは装飾が施され華やいだ雰囲気の曲をシンプルな弾き語りで聴いていると彼女のシンガー・ソングライターとしての原点のようなものが感じられて興味深い。艶のあるボーカルと独特の間合いの感じられる歌い方はやはりユニークで、唯一無二の存在だと感じる。また途中での語りにも優しそうでシャイな人柄が滲み出ていて聴く者の心を癒してくれた。

10時過ぎにライブが終了した後は、ローラやレイチェルがバーカウンターの近くでサインに応じてくれていた。僕も満を持して持ち込んだアナログ盤に彼女のサインをもらい大満足。その際にポートランドのミュージック・シーンに関心を持っていること、彼女の音楽に出会ったきっかけや他の好きなミュージシャンの名前を挙げると、皆自分の友達であると嬉しそうな顔で答えてくれた。

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7時半から10時過ぎまで3人のミュージシャンによる2時間半を充実した超えるステージだったが料金はドリンクを入れても4,500円(前売り)。外国人ミュージシャンが多数出演する六本木のライブ・カフェに比べるとコスト・パーフォーマンスは抜群であった。

行ってよかった!

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(写真はお店のご了解をいただいて撮影しました。)

2016年の10枚 - 2017.01.10 Tue

遅ればせながら明けましておめでとうございます!

昨年はシリア難民問題の深刻化とテロの頻発、英国のEU離脱宣言、トランプ大統領の誕生などグローバルベースでは様々な事件が起き、潜在化していた問題が顕在化した1年だった。しかし、平和ボケした日本で紙面や映像に切り取られた国際情勢の断面を観ていると理解はできても今一つ実感が伴わず、バーチャルリアリティーのように感じられてしまう自分の感覚に危惧を覚えてしまう。

自分自身はと言うと、身の回りの些細な雑事に追われて慌ただしく1年を過ごしてしまった感が強く、趣味の音楽についてもじっくり楽しむ余裕がなかった。ブログも久々の更新になるが、昨年の区切りを付ける意味も込めて、毎年選んでいる10枚のフェイバリット・アルバムを紹介したい。昨年は投稿本数が少なかったため、既にブログにアップしているアーティストガ半分を占めてしまい新鮮味に欠けたことはご容赦いただきたい。

1.Van Morrison / Keep Me Singing

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1曲目を聴いた瞬間に「これだ!」と思った文句なしのアルバム。ヴァン・モリソンのアルバムは山ほど持っているし似通ったメロディも多いのに、新作を聴くたびに新たな感動を覚えるのはどうしてだろう。ブルースを歌う彼もジャジーにスィングする彼も好きだが、EnlightenmentやMagic Time、そして本作の冒頭のLet It Rhymeのようなバラードが特に僕の胸に染み渡る。傑作揃いの人なので、このアルバムがベストという訳ではないが、他のアーティストと比べると「群を抜いている!」と思ってしまう。



2.Laura Gibson / Empire Builder

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この人もアルバムが出る度にCDに加えてアナログ盤まで買ってしまう大ファンのため、まだ4作目だけど年間ベスト10の常連となりつつある。内省的な歌詞とメロディ、艶のある声、そしてゆらゆらとした独特の抑揚の感じられる歌い方が印象的。現代的な感覚を取り入れつつも、華美にならないシンプルなバックのアレンジも好感が持てる。本作は昨年4月の発売だが、12月になってようやく日本盤が発売されている。(2016.4.30のブログ参照)



3.Andy Shauf / The Party

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10枚のアルバムの中で、この人だけがほぼ「新人」といえる存在。昨年の8月30日ブログで紹介しているが、デビュー作品はは2009年のEP。多少センスの良い手作りフォークポップといった雰囲気だったが、2015年のフルアルバムThe Bearer of Bad Newsでは、管楽器の効果的な使用がレトロな雰囲気を醸し出し、徐々に彼の個性が形を現してくる。そして自分に合ったフォーマットを見出した彼がそれを発展させる形で世に問うたのが本作と言えるだろう。ひょっとすると将来Randy NewmanやNilssonといったレジェンドと比肩しうる存在になるのではと期待させる。本人の作曲とボーカルはデビュー以来不変だが、効果的なアレンジが付加されたことにより彼の音楽が特別なものになった。(2016.8.30のブログ参照



4.Josh Garrels / The Light Came Down

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「2015年の大発見」だったシンガー・ソングライターでヒップ.ホップのプロデューサーでもあるJosh Garrelsの新作がいつの間にかリリースされていた。今回はクリスマス・アルバム。トラディショナルのクリスマス・ソングに混じってオリジナル曲も含まれているが、それがとても良い。ハイトーンのソウルフルなボーカルが最高。



5. Karl Blau / Introducing Karl Blau

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この人は「2016年の大発見」と言えそうな人。ワシントン州のシアトルの北、カナダとの国境近くのアナコーテスをベースに活動するシンガー兼マルチ・インストロメンタリストで、20年以上のキャリアを持つという。多くのバンドに参加する傍ら、非正規盤ではあるが、既に40作品をリリースしているという。ポートランドのシンガー・ソングライターLaura Veirs(case/lang/veirsに参加)とは親しいようで、レコーディングに参加したり一緒にツアーをしたりしていたようだ。過去の作品はハンドメイドで実験的なものも多いが、ダブ、R&B、ヒップホップ、カントリー、フォークなど多彩な音楽性を感じさせる。本作は My Morning Jacket、 Neko Case、 Laura Veirsなどを手掛けたTucker Martine productionによる本格的なプロデュースが施され、見違えるほど高い完成度の作品に仕上がっている。自作曲はないが、Tom T. Hall、Link Wray、Towns Van Zandt、Tom Rushなど往年のシンガー・ソングライターの作品を独自の解釈とユニークなアレンジで聴かせてくれ、これまた最高!



6.case/lang/veirs / Case/Lang/Veirs

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オルタナ・カントリーの人気歌手Neko Case、圧倒的な歌唱力と中性的な風貌が印象的なk.d. Lang、インディフォーク・シーンの注目株Laura Veirsの3人の歌姫によるユニット。結成のきっかけはソロ活動からの引退を考えていたk.d.Langの1通のメールでの誘いに他の二人が呼応したもの。3年の歳月を経てリリースされた本作は、微妙に異なる3人の個性がシナジーを発揮し、変化に富んで魅力的な作品となった。活動のベースとなっているのはk.d.LangとLaura Veirsが居住する米国オレゴン州ポートランド。アメリカーナ、ロックから前衛音楽、クラシックまで多くのミュージシャンが活動する当地の音楽シーンから目が離せない。(2016.7.24のブログ参照



7.Blair Dunlop / Gilded

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Blair Dunlopは名前からは想像できないが、フェアポート・ コンヴェンションに在籍していたアシュレー・ハッチングスの息子。親から受け継いだ才能は本物で、英国トラッドに根差した素晴らしい歌唱を聴かせる。デビュー作では新感覚フォークポップといった雰囲気だったが、3作目となる本作は英国フォークの伝統を受け継ぎ、無駄な音をそぎ落とし歌そのものの魅力を追求した力強い作品だ。(2016.5.14のブログ参照



8.Rachel Yamagata / Tightrope Walker

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日系3世の父親とイタリアとドイツのハーフの母親の下で生まれたRacheal Yamagataは、シカゴのバンドで6年間ヴォーカリストとして経験を積んだ後、2001年にソロ・デビューした。本作は彼女の4枚目となるフルアルバム。重ためのドラムスとギターにハスキーで物憂げな表情のボーカルが絡む。彼女をカテゴライズするとすればポップ・シンガーということになるかもしれないが、本質は紛れもなくロックである。相変わらずインパクトのある作品だ。



9.Passenger / Young As The Morning Old As The Sea

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Passengerは英国のシンガー・ソングライターMike Rosenbergのソロ・プロジェクト。年齢は30歳になったばかりだが、既に8枚のスタジオ・アルバムをリリースしている。欧米では結構人気があるようだが、日本ではあまり知られていない。個人的には少しポップよりのアレンジが気になるが、素晴らしいメロディ・メイカーでどのアルバムも質が高い。前作のアコースティック・バージョンであったり、本作の後半に収められたシンプルなアレンジの曲がいいな。



10.Justin Rutledge / East

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カナダのRyan AdamsことJustin Rutledgeの7作目。2014年の前作DaredevilのプロデューサーDean Drouillardのアレンジがとても新鮮で、僕はさらに斬新な作品を発表してくれるのではと期待していたのだが、本作ではオーソドックスなアメリカーナのアレンジに回帰している。でもそれが悪いという訳では全くなく、彼の繊細なボーカルを優しく包み込むような自然で穏やかなプロデュースが施されている(2016.10.16のブログ参照




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プロフィール

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Author:demersville
1954年生まれの音楽好きな会社員です。1968~1972年頃までは全米ヒットチャート、1970年代は米国を中心とするロック全般、シンガー/ソングライター、スワンプなどを聴いていました。最近は欧米のインディ系のアコースティック・ロックや若手のシンガー/ソングライターに興味を持っています。ラテン系は少々かじる程度です。最近買ったCDや音楽にまつわる思い出などを日記に綴っています。専門家ではありませんので、内容等に不正確な記述もあるかと思いますがご容赦ください。よろしくお願いいたします。

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